5月 12

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GWは明け方まで酔ったり吐いたり不思議な踊りを踊ったりして、近所の神社の住職の方をはじめ、様々な方に多大なご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。

さて、GWの前後は何人かから本をもらい、それを読むことができて良かったです。普段はネットの方が情報収集の効率が良いので本をあまり読まないのですが、もっと勉強しろってことでしょう。というわけで、結構色々と読んだのですが、その中で特に面白かったのは、「フリー」「アイデアの本」「10万年の世界経済史(上巻)」の3冊でした。

「フリー」は、無料で主要サービスを提供してその他の仕組みで稼ぐ、という無料経済の考え方についての本です。検索サービスをタダで提供してる割には謎のぼろ儲けをしているグーグルに代表される、商売のやり方ですね。

これは私の微妙に得意な分野なので楽しく読めたのですが、こういう無料経済ってのは生産者と消費者の間に入っていた人の仕事を奪いまくるから厄介ですね。昔、私がごく少額のお金を数十万人からこそこそ掻き集めたりするような商売をしていた裏で、少なくとも何十人分かの雇用が失われてるなあという感覚があったのですが、これって生き方としては相当凶悪犯な部類に入るんですかね。デフレが一段落したら、所得税MAX75%とかでも良いので昭和時代の公共投資に代わる高効率な再分配の仕組みをきちんと作ってほしいです。イノベーションを妨げないような感じで。

「アイデアの本」はどんな仕事でも面白がって取り組む面白がりになると楽しく生きれるしアイデアは湧いてくる、と冒頭に書かれており、確かに面白いとアイデアはポンポン出てくるのは同意なのですが、何でも面白がるというのは私のような馬鹿には無理だなあと思いました。特にその仕事の根本にある部分が気に入らない場合、その上に乗っている仕事がいくら魅力的でもさめてしまう性格なので、何でもかんでも無理して面白がるのではなく、批判すべき所はきちんと批判的に見て他のやりたい事に方向転換する方がまともだなあ、自然だなあと感じてしまう老子好きの私なのですが、どうなんでしょうか。

と、思って読んでいたのですが、後半に書かれていたブレーンストーミングの手法が非常に素晴らしく、やってみようかな、と思う事がたくさんありました。こういう事を構造化して文章にできるスキルは偉大ですね。ただ、私はブレストではあんまりアイデアが出ないんですよね。。どちらかというと仕事をバリバリしているに良いアイデア思いつく場合が多いです。これは何なんでしょうね。作業をしている時の脳波でも測ってもらったら良いんでしょうか。しかし、そんな事をすると普段考えている良からぬ事まで読みとられそうで不安でなりません。

「10万年の世界経済史(上巻)」は、産業革命以前までは人口と所得はトレードオフの関係にあって、パンデミックや、戦争や大量虐殺、飢饉は長期的に見れば人民の所得を向上させるという状況(マルサスの罠)にあったが、産業革命が起きてからは、所得と人口の両方を同時に増やすことが可能になった、といった事が書かれている素敵な本で私の大好物でした。

また、ある程度条件(恐らく地政学的に、人口構造的に)が整っていた日本や中国で産業革命が発生せず、ヨーロッパ文明圏で発生したのは、ヨーロッパの下層階級の人間が普通に部屋でうんこしたり、半年に一回しか風呂に入らなかったりと不潔な状況だった為に死亡率が高く、常に上流階級からの人口の下方移動が起きていて、勤勉や問題意識といった上流階級的精神が社会に遍在するようになったからこそ発生した、と書かれていましたが、これはどうなんでしょうね。私は植民地支配による富の集積だとか、生産力不足だとかの要因の方が大きいような気がしますが、あまり聞いたことのない分析だったので新鮮でした。

しかし、もし日本や中国が先に産業革命を起こして覇権国になっていたらどうなっていたんでしょうね。モンゴル人が世界を席巻していた時は、軽装騎兵の真似をしてガニ股で歩くのがヨーロッパで流行っていたと聞きますが、もしかするとちょんまげや辮髪が正式な髪形とかになっていて、中学校の校門とかでぶちギレた生活指導の教師が校則違反の生徒の髪の毛を無理やりちょんまげにしていたりするんでしょうかね。パイオニア10号のメッセージプレートを見つけた誰かは、謎の頭の突起について生物学と文化の両面から議論を戦わせるハメになるんでしょうか。夢が広がりんぐです。

あと、そのトレードオフの法則が産業革命によって崩れた実際の理由についても知りたかったのですが…下巻の方に書いてあるんでしょうか。結局のところ、人口×所得=土地の量×単位あたり生産力 という苛酷な公式が成り立っていて、人口が増えれば所得も減る、所得が減ったからいっぱい死ぬ、という流れが基本だったのが、水力や石炭といった別の土地、あるいは過去の土地から生まれたリソースをエネルギーに変化させ、一地域に仮想的に「土地の量」を集中させる事ができたからこそ、このトレードオフから近代国民は一時的に抜け出せたように錯覚できた、と考えるべきなのでしょうか。とすると、ある意味エネルギーって通貨みたいな機能を持ってるんですかね。下巻には答えがどう書いてあるのか楽しみです。

てか、この手の本を書く人は知識量が神ですね。本気で羨ましいです。ジャレルさんの「銃・病原菌・鉄」が面白かった人はぜひ読んでみてください。

しかしGW中はWEBサービスを一つ作って公開する予定でしたが、デザインと必要なクラスの一部(プログラミングの)を作っただけで終わりました。最近は真面目に金儲けしなきゃなあと切実に思ってはいるのですが、面白い本や話し相手がいると、いい意味で台無しになってしまいます。本を(貸して)くれた方や、付き合ってくれた方、どうもありがとうございました。

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